【脱・運任せ】宝くじの「戦利金」VS 新NISA・楽天VTIの「確率」|賢い資産形成の選び方

宝くじに並ぶときの高揚感と、新NISAの積立設定画面で「決定」を押すときの静かな確信。 この2つは一見まったく別の行動に見えますが、どちらも根底には 「将来を少しでも良くしたい」という同じ願いがあります。
ただし、そのアプローチは正反対です。 宝くじは低確率でも一撃で人生を変える夢に賭ける選択であり、 新NISAは期待値と再現性を積み重ねて未来を作る現実的な戦略です。
本記事では、 宝くじが生む「戦利金」という考え方と、 新NISA・楽天VTIに代表される積立投資の「期待値」という概念を対比しながら、 夢と現実をどう使い分ければ、後悔しない資産形成につながるのか を整理していきます。
このページの目次
宝くじと戦利金:一瞬の夢か、確率の放棄か
まずは「宝くじ」。
歴史的にも宝くじは、人が「一発逆転を夢見る装置」として、何世紀にもわたって存在してきました。ごく少額の負担(数百円)で、億単位の当選金という人生を根底から変える夢を手にする可能性があります。
言い換えれば、宝くじとはローリスク・ハイリターンではなく、ハイリスク(成功確率が極めて低い)・超ハイリターンという、特殊な投資とも言えます。
ただ、ここで面白い視点があります。
宝くじが当たって大金を手にした人は、それをしばしば「戦利金(せんりきん)」と言うことがあります。
戦場で勝ち取った獲物のように、大金をつかんだ──
そういう感覚です。しかし、この「戦利金」という言葉には、「努力や戦略ではなく、偶然によって得たもの」というニュアンスが強く含まれます。
だが実際の確率を計算すると、ジャンボ宝くじの1億円超の当選確率は数百万~数千万分の1。これは、特定の戦略や努力で覆せる範囲を超えており、勝利は戦略というより、ほぼ神頼みによるものです。
しかし、宝くじを買っている多くの人は「戦利金を得た後の人生」をイメージし、その「ワクワク感」という心理的な価値に対してお金を払っています。
つまり宝くじは「夢を見るための金融商品」であり、現実の資産形成とはまったく異なるアプローチなのです。これは、期待値(EV: Expected Value)を考慮すると、宝くじはほとんどのケースでマイナスになります。
新NISAという“現実の戦場”と“期待値”の概念
そう考えると、「宝くじ」と対極にあるのが「新NISA」だと言えます。

2024年に完全リニューアルされた日本の新しい個人投資制度であり、
- 非課税が恒久化され、期限のプレッシャーがなくなった
- 年間投資枠が拡大し、より早期の資産形成が可能になった
- 生涯投資枠が1,800万円と大きく設定された
など、個人が資産形成をしやすい仕組みが整いました。
ここには宝くじのような神頼み要素は一切なく、時間、積立、そして配当・市場成長という、確率と理屈に基づく世界があります。
新NISAの最大の特徴は、長期的な「期待値」がプラスになる可能性が高い市場に焦点を当てている点です。 新NISAを活用する人の多くは、一撃の戦利金を狙うのではなく、定期的な投資という「積み重ねによる勝利」を狙います。
投資とは、偶然ではなく再現性を積み重ねる行為であり、相場を“戦場”と見るならば、勝ち抜くには
- 手法: 長期・分散・積立の原則
- ルール: 感情に左右されない投資規律
- 兵站(資金管理): 生活防衛資金を確保した上での余剰資金の投下
が欠かせません。まさに宝くじとは真逆の戦略、「運任せからの卒業」を意味します。
楽天VTIという強い“兵器”:なぜ全世界・全米インデックスが選ばれるのか
そして新NISAで人気を集めている投資信託の中に、
楽天・VTI(楽天全米株式インデックス・ファンド)
があります。
このファンドは米国株式市場全体に投資するETF「VTI」に連動する商品で、要するに「アメリカの経済活動全体を丸ごと買う」ことができるツールです。
- アップル、マイクロソフト、グーグル、テスラ、アマゾンなど、約4,000銘柄をカバー。
- 個別株のように銘柄選定で悩む必要がなく、市場の成長=自分の資産の成長という構造が成立しやすい。
米国市場は、世界経済の中心であり、過去100年以上、株価指数が右肩上がりで成長してきた実績があります。少額からこの市場に分散投資できる楽天VTIは、極めて効率的かつ低コストで「資本主義の恩恵」を受けるための「兵器」なのです。
もし宝くじを“当たれば終わり”の単発型ゲームとするなら、楽天VTIは“毎日経験値が積み上がるRPG”のようなものです。戦利金は運ではなく、市場の成長と自分の継続力で勝ち取るものになります。
月10万円積み立ての破壊力:複利効果がもたらす現実的な戦利金
例えば新NISAで、楽天VTIのような全米インデックスに月10万円を積み立てるというケースを考えます。
月10万円は庶民感覚では決して軽い額ではありませんが、仮に年利7%(米国の過去平均に近い値)で運用し続けた場合、資産は時間の経過とともに強烈な成長を見せます。
| 期間 | 累積元本(投資額) | 試算評価額(年利7%) |
|---|---|---|
| 5年後 | 600万円 | 約720万円 |
| 10年後 | 1,200万円 | 約1,700万円 |
| 20年後 | 2,400万円 | 約5,200万円 |
もちろん市場は上がりっぱなしではないし、未来に結果保証はありません。しかし、重要なのは、「長期・積立・分散」という原則を守った人の資産が、複利効果によって加速的に成長するという資本主義の構造が、確実に存在していることです。
宝くじは一瞬で終わる勝負ですが、
楽天VTIの積立は、「未来に向けて蓄積され続ける、確率に基づく戦利金」であると言えます。
「宝くじで戦利金を狙う人生」と「NISAで未来を積む人生」の価値観の分岐点
人がどちらを選ぶかは自由ですが、その動機には大きな違いがあります。
宝くじが提供するもの(運と刺激)
- 一発逆転の夢:少ない努力で人生を変えたいという願望。
- 明日人生が変わるかもしれない刺激:ドーパミンを刺激するギャンブル的要素。
- 夢と物語:当たった人の話に踊らされるワクワク感。
新NISAが提供するもの(戦略と確実性)
- 明日ではなく未来の人生が変わる:数十年後の豊かさという「時間差報酬」。
- 確率・統計・資本主義に基づく蓄積:再現性の高い論理的なアプローチ。
- 夢ではなく、戦略としての戦利金:自分でコントロールできる勝利。
面白いことに、宝くじも投資も人は「未来を変えたい」という根本的な想いでその行動を起こします。ただそのアプローチが違うだけです。
夢を買うか、確率(期待値)を買うか。
運を待つか、時間を味方につけて積み上げるか。
ここに、個人の価値観の分岐点があるのです。
宝くじと積立投資は共存できる「スマートなアロケーション」
実は両方やる人も多く、そのアプローチは「資金の使い分け」として極めてスマートです。
例えば、
- コア資産(未来の安定): 新NISAで楽天VTIに月10万円を積み立てる。
- サテライト資産(現在の楽しみ): 年末のボーナス時に、リスク許容範囲内の少額で宝くじを買う。
積立投資は未来を安定させ、宝くじは今を夢見させる。そのどちらか一方に偏る必要はありません。
資産形成とは、数字だけの世界ではなく人生をどう豊かにするかの選択でもあります。大切なのは
- 夢を見るための支出(リスク許容内の「遊び金」)なのか
- 将来の自分を助ける投資(複利を狙う「労働の対価」)なのか
を自分で明確に理解して、資金を振り分けることです。
最後に
宝くじは「当たれば一瞬で手に入る、低確率な戦利金」。
新NISAと楽天VTIは「時間を味方にして勝ち取る、高確率な戦利金」。
どちらが正しいわけでも、どちらが優れているわけでもありません。ただ確実に言えるのは、
資本主義の構造と過去のデータにおいて“資産を増やす確率が高いのは後者”ということ。
だからこそ今日も多くの人が、宝くじ売り場の列を横目にしながら、新NISAの積立設定画面で「決定」ボタンを押しています。
その小さなクリックは、夢ではなく「現実的な戦利金」への第一歩なのだと言えるでしょう。





